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HOME症例紹介胸腔鏡にて胸腺腫を摘出した猫の1例

症例紹介

胸腔鏡にて胸腺腫を摘出した猫の1例

胸腺腫とは?

胸腺腫は高齢の犬や猫において比較的稀な前縦隔領域に発生する良性の腫瘍です。

その症状としては元気や食欲の低下、呼吸困難、発咳、胸水貯留などが認められています。さらに腫瘍随伴症候群として重症筋無力症、それによる巨大食道症、高カルシウム血症、猫においては剥離性皮膚炎など様々な合併症が報告されています。

この合併症の中でも重症筋無力症により巨大食道症が起こると誤嚥性肺炎が発症し、さらに呼吸が悪化してしまします。

診断方法とは?

レントゲン検査や超音波検査などにて縦隔領域に腫瘤性病変の確認を行います。さらにその腫瘍の細胞診検査や組織検査により腫瘍の病態の把握を行います。またCT検査にて腫瘍の広がりや周囲組織への浸潤を確認することができます。

今回当院にて呼吸が苦しそうとのことで来院された猫の胸部レントゲン及び超音波検査結果です。
外科切除を目的にCT検査を実施しました。
前縦隔領域に2㎝大の腫瘤性病変あり。細胞診にて胸腺腫が疑われた。

治療方法

治療は外科手術、放射線療法、化学療法がありますが各種検査にて切除可能な場合には外科手術が第一選択となります。今回当院にて胸腔鏡下にて胸腺腫の切除を行った猫の1例についてその概要を説明します。

エネルギーデバイスを使用して腫瘍とその周囲組織の剥離を行っています。
前大静脈の横にひょうたん型の腫瘍が認められました。
黄色で囲ったところは肺です。体位の工夫などによって肺をよけて手術を行っております。

術後の経過

病院では緊張してしまうタイプの子でしたので翌日家に帰りました。

通常であれば胸腺腫摘出の開胸手術は胸骨縦切開を行うため、術後に痛みを感じ元気食欲の低下が続くケースもあります。しかし今回は骨を切ることがなくとても小さな傷にて手術を行うことができました。そのため早期退院を実現でき、翌日から家でゆっくり過ごすことができました。

術後の傷の写真です。小さい傷が3か所のみでした。
術後260日のレントゲン写真です。胸腺腫の再発は認めらていません。